我々が住む、「地球」という惑星が浮かぶ宇宙空間での安全性は、確保されていると言えるだろうか。
我々は、我々が存在する宇宙と言う空間に潜む危険性に対して、あまりにも無防備である事を知らなければならないと言えるだろう。
そのような中、我々の持つ科学力は、少しずつ、宇宙における我々の危機から、我々自身を救うだけの具体的力を持ち始めていると言って良い。
宇宙空間にロケットを打ち上げ、月に着陸し、火星に無人探査機を送り、宇宙空間に望遠鏡を浮かべ、我々は今、宇宙空間で宇宙ステーションを築き、研究・実験のため長期滞在するようになってきた。
見上げる青空のもっと上、飛行機でも飛んで行けなかった大気圏外、その真空の宇宙空間に、我々の科学は、我々人類が足を踏み入れる事を可能としてきた。そしてそこで我々人類が生活し活動する事も。
人類の総力を結集すれば、人類の宇宙での活躍は、人類の宇宙技術は、驚くほどの発展を可能とするであろう。
そして、培われて行く宇宙技術の中から、未だ宇宙空間においては無防備である我々人類と、我々人類が住むこの地球に対して、出来得る限り、考え得る限りの防衛手段とその技術を、我々人類は掴む事が出来るであろう。
宇宙空間における地球の危機とは何だろう。
宇宙線による危機もあるだろう。他にも、我々自身が創り出し廃棄した人工衛星、打ち上げロケットの残骸、宇宙空間での人工物の衝突により散乱する数々の部品。軌道上には膨大な数の、コントロールを失った人工物が漂い、宇宙のゴミ、スペースデブリとなり、我々人類の宇宙での活動に危機を与え、中には大気圏突入で燃え尽きず、地上に墜落するものもある。
しかしながら、最も恐れなければならないものは、宇宙空間にある小惑星の地球への衝突についてであろう。
小惑星の衝突と言えば、何万年いや、何十万年、何百万年に一度あるか無いかのものであり、人類の歴史が続く間に、この地球に衝突する確率は低いのではないかと勝手に思いこんでいまいか。
いや、希望的観測にともなって、そう思いたがっていはしまいか。
何故なら、今現在人類は、小惑星の衝突に関してはどうする事も出来ないと誰もが思っているからである。
新世界政府機構は、国際社会の安全、人民の生命、人権の保護、災害救助を目的とすると、新世界政府最高法規にも明言されている。
そして新世界政府最高法規第23条にも明言されている通り、新世界政府機構は、小惑星の地球衝突を始めとする宇宙からの地球の危機に対しても総力をあげて取り組み、これを回避しなければならない責務を持っている。
以下に、新世界政府機構が取り組むべき、若しくは検討すべき課題に関して提案を行っておきたいと思う。
但し私は科学技術に関して素人であり、提案においては科学的根拠は考慮されていない。また、科学的根拠を提示し得ないところにおいて、ある意味、ある程度自由に提案出来るものでもあると言えるため、以降の検討において、しかるべき専門家が、どのようにすれば可能であるかを検討計画し、設計を行っていく事を期待するものである。
以下、いくつかの項目を設けて、宇宙防災、宇宙開発に関して提案を行っておきたいと思う。
地球に衝突する危険性の高い小惑星に対して、数機の無人ロケットを発射させ、そのロケット間に網を張り、小惑星に網を掛けるように、数機のロケットを展開する。
小惑星に網を掛けた後は、小惑星が太陽に墜落するようにロケットで誘導するか、若しくは地球と衝突しない軌道に小惑星を誘導するかにより、小惑星の地球への衝突を未然に防ごうという計画である。
網を張り、網の中に誘い込んだ魚を引き揚げる地曳き網のように、小惑星を、太陽若しくは目的の軌道に引き上げるため、宇宙空間での地曳き網という事で、「スペース地曳き網計画」と仮称する。
なお、「スペース地曳き網」が成功した時の合い言葉は、「大漁」である。
スペース地曳き網計画は、宇宙空間での地球への危機の回避という事柄に対して、人類初の共同大事業であり、地球上の人類を始めとする生物の存続にかかわる重大事業であり、失敗は許されない。
各国家の年間予算の1/4以上を供出しても良い。何故なら、その危険が現実のものとなる時、国家予算をいくら渋ろうと、その危険が回避出来なければ、人類自体が滅ぶのであるから。
人類が滅ぶ危機に対しては、予算の上限など意味がないものである。
この計画で困難な事柄は、2つある。
1つは、地球に衝突する小惑星を、確実に見つけ、衝突の時期を掴む事である。
多くの小惑星をきちんと監視し、太陽系での軌道を割り出しておかなければならない。しかも、数日後だの、数週間後だのという間近では恐らく間に合わないため、相当前に割り出しておかなければならない。
もう1つは、小惑星の大きさと、その大きさのものに掛ける網の開発と運搬、複数のロケットをどうやって操作し、目的の小惑星に網を掛けるかという事と、網を掛けた後に複数のロケットを用いて小惑星を目的の方向に運搬する技術である。
複数のロケットを、個別に打ち上げ、小惑星に近づいたところで、どうやって各ロケットに網を張るか。それとも、複数のロケットを一体化して打ち上げ、小惑星に近づいたところで分裂させ、予め仕込まれた網を張るか。
無事に網を掛ける事が出来たとして、複数のロケットが、小惑星を保持したまま目的の方向へ推進する事が出来るかという事である。
若しくは、網を掛けるのではなく、小惑星に複数のロケットを打ち込み、打ち込んだロケットの推進力を用いて、小惑星を目的の方向へ移動させる方が良いのか。
いずれにしても、地球に衝突する小惑星を探しだし、その小惑星を誘導するに足るロケット、その方法と開発は、僅かな年限では出来るものではなく、既にもうその準備を始めておかなければならない時期だと言えよう。
これは「スペース地曳き網計画」の発展系の宇宙開発計画であるが、、数十mから数kmの大きさの小惑星を、目的軌道上の同一箇所に集め、お互いの引力及び人工的なつなぎ合わせにより、複数の小惑星を一体化し、人工の惑星を作る計画である。
人工惑星には人間が居住・活動するための基地を作り、人工惑星基地として宇宙空間での様々な実験や観測を行うものである。
人工惑星は地球の衛星とされるため、永久に地球との適切な軌道距離を保ち続けなければならないため、慎重な計画の推進が必要となる。
月面に膨大な反射鏡を設ける計画である。
月が地球に対して向けている部分に反射鏡を設けて、月面に当たった太陽光を反射させて、その反射鏡の向きを制御して、地球の設定箇所に照射するというものである。
地球の設定された箇所は、照射される光によって発電を行う施設でも良いし、異常気象により非常な寒冷被害を受けている地域でも良い。
照射される光の集約度を、その目的に応じて変えて照射させても良い。
但し、これまでの自然環境においては無かった、人間の操作によって加えられる光エネルギーのため、地球の環境に対する影響等は細心の注意を以て考えられていなければならない。
温暖化の促進、大気、海水温、気候への影響等、十分に検討されなければならない。
また、反射鏡を始めとした機器の制御に対しても、機器のトラブルによって制御不能になることがあってはならない。
反射鏡ではなく、月面に太陽光発電施設を設けても良い。例えばそのエネルギーにより、レーザー光線等を作り、地球の特定箇所、若しくは人工衛星等に照射し、再びそれをエネルギーとして活用しても良い。
無論これも、環境等への影響、事故の予測と事故の未然化を第一としなければならない。
また、例えば、月の地球に向く面に反射鏡を設け、直接地球に光やレーザー光線を照射する事が危険であるのであれば、月の反対側や任意の箇所に反射鏡を設け、地球とは違う方向に設置した衛星を1つ若しくは複数経由して、光やレーザー光線を地球に照射するようにすれば、その間にいくつかの安全装置が設けられないであろうか。
宇宙エレベーターの構想が言われて久しいが、偏西風、台風、ハリケーン、竜巻、巨大地震等、今現在の科学においても、為す術もなく、過ぎ去るのを見守るしかない自然災害等に対して、安全性を保てる宇宙エレベーターが出来た場合、当然、宇宙開発の為の人や物資がそれにより宇宙空間へと運ばれ、科学実験や観光までもが行われるであろうが、地球上では処理廃棄しかねる廃棄物を、宇宙エレベーターで宇宙空間まで運び、そこから太陽に向かって、廃棄物輸送をロケット等を用いて廃棄物を太陽に廃棄する処理計画である。
地球上で処理に困るものを、単に宇宙空間に放出廃棄するのではなく、太陽に投下し、処理をしてしまうというものである。
太陽は、宇宙における最も巨大な焼却炉である。
地球で発生する、処理に困る有害廃棄物も、何の苦もなく焼却処分してくれる。
この廃棄物処理能力は、今後の地球にとって活用すべきものであると考える。
太陽系内の個体惑星の移動を行う計画である。
一案として、火星に対して推進力を持たせ、地球軌道と同一軌道に火星を移動させる。
これにより、火星の環境を整えて、地球と等しい環境に近づけるようにする。
所謂「地球のスペア」を作る計画である。
太陽に対し、地球と同一軌道上の位置として、太陽を挟んで地球と反対側に持って行き、双方の通信が可能な位置に通信用の衛星を設置しても良い。
但し、火星の移動は「スペース地曳き網計画」のように簡単に行くわけがない。また、太陽系の一部を変革してしまうため、移動に際しては細心の注意が必要となる。
膨大なエネルギーと膨大な時間が必要となり、目的軌道に止める事も確実に行われなければならない。
また、火星を地球と同一軌道上に配置する事が出来たとしても、地球と類似した環境を得るまでには、それこそまた膨大な時間が必要となる。
あらゆる事が膨大過ぎ計画としては不可能と考えられるが、人類の宇宙開発のテーマとしてロマンを超えたものがある。